「人事制度」という言葉自体は耳にしたことはあっても、人事制度そのものについて詳しく学んだり、考えたりする機会は意外と少ないものです。
しかし、人事制度を知ることは出世や年収に大きな影響を与えるため人事の仕事をしている方以外でもしっかりと理解しておきたい制度です。
今回は、人事制度がどのようなものなのか基礎知識と仕組みをご紹介していきます。
人事制度とは？3つの柱を知ろう
人事制度は、主に3つの柱から成り立っています。
この考え方は、ほぼすべての会社で共通するものであるのであるといえます。
人事制度の3つの柱は「等級」「評価」「報酬」です。
まずは、この3つがどのようなものであるか見ていきましょう。
等級
人事制度の1つ目の柱は「等級」です。
等級とは、能力や職務内容によって振り分けられるレベルのことです。
等級は、能力や職務内容を表すため社内での職務権限や給料に影響を与えるものとなります。
等級の役割は主に2つあります。
1つ目は自分の社内での位置付けがわかることで、従業員のキャリア設計が描きやすくなることです。
能力や職務内容がレベルごとに明確化されるので、自分が現在どの位置に居て、上を目指すためにはどのような能力が必要なのか理解する物差しとなります。
また、評価を付ける上司としても部下にどのような業務を期待しているのか、キャリアプランを示しやすくなる利点もあります。
2つ目は、報酬と評価基準を明確化できることです。
こちらは人事的な視点となりますが、等級があることで等級ごとに給与を設定したり、人事評価を付ける際のガイドラインを設定したりすることができます。
このような基準があることで、公平な評価を行なうことが可能となります。
評価
人事制度の2つ目の柱は「評価」となります。
各従業員の仕事振りを評価して成績や能力に応じた等級につなげることで、会社という組織を構築していきます。
評価では「何を」「いつ」「だれが」を明確にすることが重要となります。
これは評価をする人、される人の双方にとって必要な基準となり、公平性を保つために基本的には全社を通して同じ基準となります。
評価制度は会社によりさまざまですが、日本で多く採用されているのは「業績評価(成績評価)」となります。
業績評価とは、与えられた目標を達成したかどうかを判断する評価です。
業績評価は数値化や成果の明確がしやすいため、評価する側も公平性を保ちやすくなります。
業績評価以外にも、仕事の課程で見られた能力を評価する「能力評価」、やる気や仕事への姿勢を評価する「情意評価」、業績に結び付く行動面を評価する「コンピテンシー評価」などがあります。
報酬
報酬とは、給料や賞与を決めるための基準となります。
等級と評価と結び付きが強く、この2つの最終的な形が報酬になるといえるでしょう。
「等級」→「評価」→「報酬」→「等級」→「評価」…のように、このルーティーンを半期や1年など所定の期間にサイクルさせることで人事制度は運用されています。